日本放射線影響学会 / THE JAPANESE RADIATION RESEARCH SOCIETY

理事長挨拶

一般社団法人 日本放射線影響学会 理事長
島田 義也

一般社団法人 日本放射線影響学会員の皆さまへ ~理事長所感~

2018年から日本放射線影響学会の理事長を務めることになりました。本学会は来年60周年の節目を迎えます。1つの区切りの時に、学会のなすべきこと、アイデンティティ、社会への貢献について初心に返って考えてみたいと思います。

本学会は1959年、放射線の人体と環境に対する影響を、分野横断的に探求・発表する場として設立されました。設立当初から、物理、化学、生物、環境、医学、工学、放射線防護や被ばく医療を専門とする幅広い分野の研究者が集まり、放射線と物質・生物との相互作用の解明、放射性物質の環境調査、放射線の医学利用など、放射線をキーワードに広々とした分野で研究が行われてきたユニークな「学際的な学会」です。

近年は学問が細分化され、専門性を追求する研究会・学会が増えてきました。確かに「究めるべきものを究める」ことは大切です。「自分の座標軸」をもつことは研究者のアイデンティティそのものです。しかし、日々発信される多岐にわたる膨大な新たな情報を無視するわけにもいきません。少し背伸びをして、周りの分野を見渡し、新しい情報や技術、考え方を自分たちの土俵に持ち込むことで、従来では思いもよらなかった発見につながることもあります。「異分野と結びつける努力」、融合研究を活発化する努力が、新たなサイエンスを産み出すのに欠かせません。自分の陣営から出て、他の分野を学び広々とした教養を身につけることも大切です。

本学会の学問領域は、進化の原動力である突然変異、DNA修復酵素、幹細胞、細胞周期、アポトーシス、がん・老化、遺伝病の原因遺伝子、遺伝的影響、放射性物質の環境移行や生体濃縮など「教科書に掲載される重要な発見」をしてきました。あわせて、放射線による画像診断やがん治療などの医学利用や安全性の問題、原子力関連の事故では線量評価や生体影響、リスクコミュニケーション、放射線教育、防護研究など「社会的にも大きな貢献」をしてきました。

設立60年を迎える節目にあたって少し立ち止まり、純粋な好奇心で、再度、放射線と生き物についての研究を見てみたいと思います。世のはやりに惑わされず、面白い、探求したい、取り組む重要性を十分理解できる課題を会員のみなさまと一緒に引き出し、取り組むことができれば幸いです。

会員のみなさまには、特に若い会員のみなさまには、自分の研究成果を年に一度はまとめ、発表し、ディスカッションしあえる友人の輪を広げ、いろんな知識を吸収できる場として学会をさらに活性化していただけますようお願いいたします。今年も来年も、その次の年も大会で会いましょう!

今後もますます社会に貢献できる学会として努力して参りますので、大学、研究機関、学協会、各省庁そして関連する企業の方々にもご支援賜りますよう宜しくお願いいたします。

平成30年8月15日
理事長 島田 義也